A.R.C.

素晴らしい作品！チックの先入観が一変しました！！

録音はきれいです。チック・コリア初期のみずみずしさも作風に感じられますが演奏のスタイルはフリージャズに分類されるでしょう。アバンギャルド的な騒々しさはさほどありませんが後の｢リターン・トゥ・フォーエバー｣のような楽園的に美しい音楽ではありません。｢フリー＝自由｣といっても何らかの制約の下になければただの音の垂れ流しですからその意味では求める方向性はあるのでしょう。(演奏者のメンツを見てもそう思います）チック・コリアでイメージされるポピュラー度合いは低いです。また同じピアノトリオでも｢ナウ・ヒー・シングス｣とも違います。しかしこの手の演奏を通過したからこそ、その後の美しい音楽性にたどり着いたことを思い聞くと、また違った感銘があるやもしれません。ＥＣＭ的な美しさのあるピアノトリオ作であることは間違いない作品です。けれども、装飾音や演奏表現の一部にいかにもフリージャズでやりそうな陳腐さがある点マイナスに思えてなりません。

最近ではまず聴くことのできない緊張感溢れるチックの演奏ですね。商売人だけでない(笑)ピアニストとしてのチック コリアを堪能出来ます。